感動を記録する

チグミスンガン、チョスンウ ssi に夢中

「モーツァルト!」配信3DAYS、感想

 

知らせは突然に

 

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「!?」

 

その夜、韓ミュに飢えた全てのファンたちに電撃が走った(はず)。

 

これって・・・?

今の状況(※コロナ禍)からして、配信・・・

タイミング、演目、日本ウケから考え合わせると、新録なら、もしや、

モ・・・

いや待て待て待て余談は禁物だよ(※心理防衛しぐさ)

 

そして迎えた、発表当日。

 

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アアーーーーーーーーーー!!!(言葉にならない叫び)

 

まさか、諦めていた「モーツァルト!」を、日本にいながらにして観られるとは!!!

いとしの「推し」ウンテ神、ついにドラキュラを観られなかったジュンス、そして、期待値MAXのパクガンヒョン!!

もはや、韓流ぴあミュージカル様に足を向けては眠れない。

ありがとう。ありがとう・・・!!!

 

夏が、始まるよ…!!!

 

 

 

マチネとソワレと3チャルト

 

PIA LIVE STREAM と UPにて、

マチ・ソワ・マチ・ソワ・ソワ の、3日間5公演。

本当に、素晴らしかったです。

 

初めての、WEB配信での韓ミュ視聴、

身に染みたのは、日本語字幕のありがたさ!

自分は「モーツァルト!」という演目自体が初鑑賞だったので、日本語字幕が本当に助けになりました。

視聴環境の部分では、

UPは映像の解像度がおおむね、間引いた画質になってしまい。可愛いガンヒョニの顔が福笑いのようになって涙をさそったりもしましたが。

PIA LIVE STREAMは終始ハイビジョンの安定供給で、全画面表示でも画質とアスペクト比が崩れず。かなり満足度の高い視聴ができました。

 

 

さて、初めての「モーツァルト!」、

なんといっても、曲が、かっこいい!!!

さすがクンツェ&リーバイの、優美かつ陰鬱なメロディライン。「影を逃れて」のサビは、一度聞いただけで脳裏に焼き付き、一瞬で心を奪われる。(数日間、不意に「オットケ〜」っと口ずさんでしまう病に罹患)(家族の皆さん、ごめんなさい)

 

舞台装置、衣装、すべてがゴージャスで、演出もかっこよかった。

とくに、クライマックスの「モーツァルト!モーツァルト!」は、

歌唱、歌詞の内容、譜面を撒き散らす演出が相まって、なんとも言えない昂揚感。ヴォルフガングとアマデが「最期」に向かって作曲を続ける中、舞台全体を、貴族の男女の装束に身を包んだアンサンブルが埋め、譜面を撒き散らしながらモーツァルトの功績を称える。ヴァルトシュテッテン男爵夫人が舞台を歩みながらソロ歌唱をかぶせ、一人の天才の物語を歴史の中に位置づけていく。その重層的な表現の仕方、見せ方がとても面白くて、作品の中で一、二を争う、大好きな場面です。

ヴァルトシュテッテン男爵夫人を演じたふたりのレジェンド シン・ヨンスクさん、キム・ソヒャンさんの歌唱が、それぞれ、本当に素晴らしかった。黄金星はもちろんですが、この「モーツァルト!モーツァルト!」での男爵夫人のソロも、さすが。

シン・ヨンスクさんは厳粛に力強く。キム・ソヒャンさんは慈悲をたたえて祈るように。「歌」の表現力で物語をつづる韓国ミュージカルの魅力を、余すところなく体感させてくれるパフォーマンスでした。

 

そして、最高の俳優陣による、三者三様のヴォルフガング。本当に、素晴らしかった。

それぞれの個性と表現力が凄すぎるから、同じ演目でも、まるで違う作品を観ているかのように楽しい。

たとえば、父レオポルトとの決裂の直後の曲、「なぜ愛せないの」の中で、ヴォルフガングが「どうしてもわからない、なぜ父が去ったのか…」と歌う場面。

「あなたは、本当は分かっているんだよね?」と思わせるシャチャルト。

あらゆる問いかけを越えて、ただ、瀑布の如き涙を流させるウンチャルト。

「ああ、彼は、本当に分からないんだろうな…」と納得させるガンチャルト。

トリプルキャストの醍醐味を、思い切り味わうことができました。

 

 

シャチャルト こと キム・ジュンス(김준수)

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1986年生。2010年「モーツァルト!」で初めてヴォルフガング役を演じ、2011年にも主演。そして2020年「モーツァルト!」10周年記念公演、万感の思いを込めてその舞台に立つ。さすがのレジェンド、キム・ジュンス。圧巻のステージだった。

 

ジュンスのヴォルフガングは、真摯。ひたむき。ものすごくまじめ。

自分の心に正直に、もっと自由に音楽を追求したいと行動するも、権力者からの様々な妨害にさらされ、苦悩するーー劇中の様々な要素が、ジュンスその人と重なって、すごく、グッとくる。

生まれついた場所、その環境から逃れて、自分の求める場所、自分の求める自分へ変わっていくことが、いかに難しいことか。ずっとそのことを考えさせられ、その思いと重なって聴く「影を逃れて」は、いっそう切実に胸に響く。

 

感情のアップダウンをそのままに見せる、良い意味で等身大の作りこみ。人物の輪郭を大きく見せようとせず、ジュンス自身が軸となって、求心力をもって観るものを引き込んでくる。

これが苦しみ、これが悲しみ、これが恐怖、というように感情のありさまをそこに描き出して見せ、物凄い汗は、実際にその体の中で、ヴォルフガングの人生と感情とが躍動している様を感じさせた。

 

ラストはもっとも悲痛。

「影を逃れて」で再登場するところは、いま、まさに絶命の直後、ひとり煉獄をさまよっているかのよう。

「運命から逃れたい!」と絶唱する目の前で、父レオポルトとアマデが互いに放たれた矢のように駆け寄り、抱き合うラストは、一瞬、何が起こったのかわからなかった。

 

長い戦いが終わった、死によって救われた…と思ったのに、

ヴォルフガングとアマデは、最期、ようやく融合したと思ったのに、

正直、「ここ、感動していいの…?」と戸惑うほどの…

「運命から逃れたい!」という叫びと、アマデと父の抱擁の光景との組み合わせにゾッとしてしまうほどの、壮絶なエンドだった。迫真のシャチャルト。次の日まで、ゆううつ。

 

 

 

ガンチャルト こと パク・ガンヒョン(박강현)

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1989年生。デビュー6年目にして出演作多数。「モーツァルト!」10周年記念公演で初のヴォルフガング役にキャスティング。早くも次期作「大彗星」が決定している。

 

 

 

光。まさに、神に愛された天才そのもの。

彼がステージに現れた瞬間、「まいりました」という感じ。フワーッ、と、こちらの胸の奥が明るくなる。

 

なんといっても、歌唱が本当に素晴らしい。声が明るく軽やかで、歌詞の一音一音の発音がクリア。ゆえに、いっそう言葉が軽やかにメロディーに乗る。歌が輝いているみたいだ。

「僕こそ音楽」「影を逃れて」まさに天上の調べ。

彼の声・歌い方と、演目がものすごく合っていて、JCSコンでのユダ役「Heaven on their mind」で見えた、ハードロックとりわけシャウトがどうにも歌いにくそうな様子は、微塵も感じられず。

本領発揮の「はまり役」、ただただ素晴らしかった。

 

 

ナチュラル・ボーン・光 のガンチャルトは、

間違いなく、もっとも「ヤバい」モーツァルト。この世の地面を踏んで生きていない。

もっとも常識が無く、破茶滅茶で、失言や暴言も本当に自覚なくツルッと言ってしまいそう。

享楽的で誘惑に弱い様子も、説得力がある。

 

どんなにボロボロになっても、その光を失わないガンチャルト。第二幕に深まる人生の陰影も、天才の光と影というより、光の色合いの変転を感じさせる。

光でありながら光のままに崩れ、壊れ、滅んでしまうーー舞台上のガンチャルトの輝きが、「早すぎた天才」の夭折をそのまま体現していて、悲しいストーリーなのに、不思議なカタルシスさえあった。

 

できればガンチャルトも2回鑑賞したかったものの、最終日は配信時間が重なっていて、苦悩の末、ウンチャルトをマッコンに選択。。。そこには、「ガンチャルトには、次、また必ず会うことができるだろう」という確信もあって。舞台の上のガンチャルトを直接観ることができる日を心待ちにしています。

(そしてジキル&ハイドにも出てください。ガンヒョニのチグミスンガン、ぜったい、号泣必至)

 

 

 

ウンチャルト こと パク・ウンテ(박은태)

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1981年生。2010年、「モーツァルト!」主演俳優の負傷により、急遽ヴォルフガング役に抜擢。以来、2011年・2012年・2014年公演にて主演をつとめ、そして2020年「モーツァルト!」10周年記念公演で6年ぶり5回目の登板。ジュンスと同じく、まさに、レジェンドの帰還。

 

さすがのウンテ神、39歳、円熟のヴォルフガング役。最高。

 

若さと活力に満ちた第一幕から、一転、第二幕、生活に消耗していくヴォルフガングの「枯れ」「疲れ」の見せ方がすばらしい。しかも、持ち前の熱量を減らすことなく「疲弊」を表現してくるので、観る側も、どうしようもないほど揺さぶられる。ヴォルフガングが何を思い、どう苦悩して、最期の瞬間まで作曲を続けていったのか。第二幕の限られたランタイムの中で、何年にも及ぶ長い時の流れを感じさせる。

 

そして、パッションと知性を併せ持つウンテ神、演技プランの作り込みが非常に、論理的。ウンテさんが演じると、役柄の感情がものすごく「伝わってくる」。パカーン!!と光の矢が雲を抜けるように伝わってくる感情。その熱量、色彩が、ものすごい。

そして、その積み上げが、満を持して最終盤に爆発する。

 

ウンテさんのヴォルフガングを観るうちに、自分の中に、形をなしてくる思索ーーこのヴォルフガングは、「未知」に立ち向かっているのだとーーまだ誰も知らない価値、まだ誰も形にしていない音楽を生み出すために、未知に挑み続けた人間の姿なのだと、絶え間なく、打ち寄せる波のように考えさせられていた。

 

何が「正しい」のかなんて、本当は、誰にもわからない。

 

過酷な18世紀末、庶民にとって、権力者と社会秩序に服従しなければ、生存など望みようの無い時代。

特権階級の身分や、経済的基盤がなければ、権力者の庇護を得て生きていくしかない。

その社会構造の中で、父・レオポルトの愛とは、自分が築いた宮廷音楽家の地盤を息子に与え、そこから零れ落ちることなく、一生を全うさせること。

その考え方が間違っているとは言えない。しかし、その「いま」の基準の中に居るゆえに、父レオポルトは、ヴォルフガングの、時代をも越える才能を真に理解することができない。

 

父レオポルトの言うとおりに、コロレド大司教に雇われていれば、ヴォルフガングとモーツァルト家の人生は安泰だったはず。

でも、その「幸せな」道を選んでいたら、ヴォルフガングは、時代を越えた「天才」として、偉業を成し遂げることはなかっただろう。

 

ヴォルフガングは、父レオポルトやコロレド大司教が体現する秩序の「外」に出て、世界中でまだ誰にも定義づけられていない新しい価値に、音楽という形を与えようとする。彼の頭の中にだけ存在する地図を手繰り寄せて。

 

来るべき19世紀に向けて、貴族や権力者の装飾品では無い、人間存在のための音楽を作ろうとするヴォルフガング。

その生を、コロレドは徹底的に否定する。

それは「堕落」であり、「楽な道」「間違った道」であると。

でも、それは、本当にそうなのか。

なにが「楽」で、なにが「間違った道」なのか。

未来から現在への答え合わせができない以上、その答えは誰にもわからない。

ヴォルフガングの歩むまだ名前のない道こそ、過酷な道と言えるのではないのか。

 

その創造と引き換えに、次々にかけがえのない人たちを失っていくヴォルフガング。

そして、そうであるにもかかわらず、ヴォルフガングは、コロレドとの最後の対立の場面で、自らの音楽への圧倒的な誇りと、強靭な魂とを見せつける。

 

ソン・ジュノさん演じるコロレド大司教との圧倒的な対立の場面、「楽な道はいつも間違った道」。

圧巻のこの場面で、これまでに積み上げられた諸々の要素が一気に押し寄せてきて、わたしの感情と涙腺が決壊してしまった。

 

あまりにもヴォルフガングが眩しく、強く、そして、彼が失ったすべてのものが、あまりにもやるせなくて。

感動して、泣きすぎて、人としての体裁を取り戻せないまま、終幕ーー

カーテンコールが終わっても、しばらくの間、立ち上がれなかった。

 

ウンテさんの「モーツァルト!」集大成を観ることができて、本当によかった。幸せだった。

アマデとの最期のやりとりには、慈愛があって、役柄と共に歳を重ねたからこそ出せる奥行きも感じた。

 

第一幕クライマックスの「影を逃れて」も素晴らしかった。

あんなに悲しい「ピリョオプソ」(影を逃れての歌い出し)なんて、聞いたことがない。呟くような、絞り出すような歌い方が涙を誘爆させる。

そして、ウンテ神必殺のハイトーンビームと大ジャンプ、暗転!!!

ウンテさんの、一幕暗転前のハイトーンで瞬殺されるのが大好きで(語弊)、暗転ならぬウンテンと呼んでしまいたいぐらい好き。

8ヶ月ぶりのハイトーンを浴びた瞬間、「生きててよかった」と全力で思った。

 

ウンテさんの最新作「キンキーブーツ」。ものすごく観たいのに、観にいけないことがつらい。

コロナ禍で公演が苦労を強いられている様子がもれ伝わってきてすごく切ないですが、心から、公演の無事をお祈りしています。

ウンテさんのローラ、きっと、観ることができますように。

韓流ぴあミュージカル様。キンキーブーツ配信、何卒、宜しくお願いいたします。

 

 

 

ありがとう、「モーツァルト!」

思いがけず訪れた、最高の3日間。

韓国ミュージカルがやっぱり大好き、と、心から思いました。

1日も早く、現地の劇場で、大切な人たちに再会したい。新しいときめきに出会いたい。

 

韓国・ソウルでの「モーツァルト!」10周年記念公演は、コロナ禍の影響で終演日を3日繰り上げながらも、無事、閉幕。関係する全ての方々の御苦労と、頑張りに、心から拍手を送りたいです。

「モーツァルト!」本当にありがとう。

また会う日まで!!!

 

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